就業中の昼寝を辞められない友をどうすれば救えるのか

中途採用の僕と同時期に入った新卒のF君は真面目だ。日常会話は固すぎるほどの「です・ます」調だし、飲みの席では正座で背筋を正している。新卒ということで力の抜き方が分からないという事もあったのだろうが、ほかの新卒社員と比べてもよく言えば真面目なのだろう。

 

ささいな頼みごとをされようものならば一生懸命解決策を見つけ、若手という事で力仕事を任されれば汗だくで頑張っている。

個人的には彼みたいな人間がすごく好きなのだが、彼には就業中に寝る癖と、納期までに成果品を完成させないという、それなりに致命的な欠点がある。

昼間寝すぎて納期が間に合わないのか、納期のせいで残業し昼間寝ているのかは彼自身にも分かっていないようだが、中途の僕が改めて指導する事でもないだろうと思っていた。なぜなら、うちは仕事に関しては個人主義であるが故、自分のペースで仕事をしてくれれば良いと思っていたし、会社で寝るななどを20歳過ぎた男に指導したくないのだ。彼が僕の席の前で昼寝をコクリコクリと始めた時なんかはフフフっと笑ってしまうくらいなのだ。しかし、これがよくなかった。

 

僕はある日神妙な面持ちのボスから個室に呼び出された。1月という時期で内示が出たのかなと覚悟していたら大外れ。ズバリF君の態度についての指摘アンド、何故君が指導しないんだと真顔で言われてしまったのだ。会社員てのは不幸なことにこんな些細な事で評価が下げられ会社での居場所を失ってしまう。仕事の精度より飲みの付き合いが重要だったりと理不尽な評価が存在する。

その事を十分に知っている僕はその日から早速彼に対して指導を入れたのだ。この対応の早さが社会人には必要である。

僕が彼に言ったのは、大人なら誰でも知っている当たり前のことだ。仕事中に寝るとF君の評価が下がるだとか、信頼を無くして仕事を任せてもらえなくなるとか。その辺を一通り話したところで次は彼の悩みを聞いてあげるのだ。仕事に対して不安がある?会社の人に相談しにくいことがある?ご飯はしっかり食べれてる?と身の上話を聞いてあげた。

F君曰く、会社での仕事は楽しいし、業務でのストレスはないとの事。私生活にも大きな問題はない。ただ、彼はスケジューリングを組み立てるのが死にほど苦手ということが発覚した。

もともと入り込むと追求するタイプの彼は案件を5件以上抱えると、モードの切り替えが出来ず、しんどいんだとか。切り替えが出来ないから遅くまで残業し、昼間寝てしまうという悪循環が生まれてしまった。

ならば1つの仕事を集中して終われせれば良いのでは?という話だが、他の上司から仕事は同時並行で進めるようにというアドバイスを頑なに貫き、自分のやり方をできずにいた結果こうなったのだ。真面目すぎるのも悩みである。

優先すべきは教わったやり方ではなく、顧客への納期を間に合わせることであり、自分がベストを尽くせるようにする事とアドバイスを行った。さらに親切な僕は手帳やカレンダーを使った具体的な効率化の方法を伝授し、謎の満足感を持ってミーティングを終了した。

 

その後は喫煙者でもないが、いつもの喫煙所で5分ほど休み仕事へ戻った。

そしたら彼はもう寝ていた。多分、僕の話が面白くなかったんだろうな困った困った。次からはユーモアを交えて物事を伝えようと思った一年ほど前。

彼は今だに昼寝を辞めれず働いている。当然その事は幹部会でも広まっている。それでも彼は寝続け、納期を危うくしている。彼のようなタイプに組織として今後どう接するのかは見ものである。